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【番外】知っておきたい用語集

B型肝炎に関係する、ちょっと難しい言葉をまとめてみます。

B型肝炎訴訟に関係する用語一覧

  • B型肝炎特別措置法
  • 正式には、「特定B型肝炎ウィルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」と言います。

    過去の集団予防接種等での注射器連続使用により、B型肝炎ウィルスに感染した者、その感染者から母子感染した者を対象に、給付金が支払われます。給付金の金額は病状によりあらかじめ決められていて、給付を受けるためには、訴訟を起こして和解する必要があります。

  • 無症候性キャリア
  • B型肝炎ウィルスには感染しているものの、特に、病気を発症していない人のことです。ただ、その後慢性肝炎に発展する確率も高く、経過観察は必要でしょう。

    B型肝炎給付金の対象で、無症候性キャリアの場合でも給付金が支払われることになります。

    しかし無症候性キャリアの場合は、感染時、つまり予防接種をした時から20年で除斥期間が終了してしまうため、それを過ぎると、もらえる給付金の額は安くなってしまいます。

  • 除斥期間
  • 法律関係の用語で、一定期間の経過によって権利が消滅する制度を表します。民法においては、除斥期間を20年としており、B型肝炎訴訟についても、対象者となったその日から20年の除斥期間を設けています。

    除斥期間を過ぎると、請求はできますが、給付金額は非常に安いものとなってしまいます。

  • 接種痕
  • B型肝炎給付金の対象者は、昭和23年~昭和63年までに集団予防接種等をして感染した者が対象となりますが、かなり過去にさかのぼるため、母子手帳や行政の予防接種台帳など、予防接種を行った記録が残っていないこともあります。

    その場合、実際に腕に接種痕があるかなどでも、予防接種を受けた証拠となりうることがあります。

  • HBVキャリア
  • B型肝炎ウィルスに感染しているが、発症していない状態の人をHBV(B型肝炎ウイルス)キャリアと呼びます。免疫機能がB型肝炎ウィルスを異物と認識できず、体内に留まり保有する形でキャリアとなってしまいます。

  • HBV分子系統解析検査
  • 親子間のB型肝炎ウイルス感染を調べるために、用いられる血液検査です。母親、または父親と子供の塩基配列を比較することで感染の因果関係を特定します。

  • 定期検査費
  • B型肝炎感染者に支給される検査費用です。慢性肝炎の有無を調べるために必要な、血液検査や画像検査の費用がこれに該当します。自身だけでなく、家族や親子間への予防策で講じるワクチン投与、検査等の医療費もこの定期検査費に含まれます。

  • 和解
  • B型肝炎訴訟のみならず、紛争中の状態から両者が譲歩し合うことを意味します。B型肝炎訴訟における和解は、裁判所を介する裁判上の和解となります。

追加給付金

給付金を支給された方の病状が悪化した場合、最初に支給された額との差額を追加で支給される給付金です。

母子感染防止医療費

特定B型肝炎ウィルス感染者となった母親から、子への母子感染を予防するためのワクチン接種費用です。

世帯内感染防止医療費

特定B型肝炎ウィルス感染者となった方から、家族への感染を予防するためのワクチン接種費用です。

訴訟手当金

訴訟を起こす際にかかる弁護士費用の手当金で、給付金の4%に相当する額が支払われます。

慢性肝炎

肝臓の炎症が6カ月以上続く症状を慢性肝炎と言い、A型、B型、C型、D型、E型の5種類の肝炎ウィルスが原因となっています。HBVキャリアの人が肝炎を発症した場合に慢性肝炎となりますが、B型肝炎ウィルス感染者の約10%が発症するとされています。

肝硬変

慢性肝炎が進行すると肝硬変になります。肝炎で傷ついた肝臓を修復しようとタンパク質が増加し、ゴツゴツとした「綿維(せんい)」と呼ばれるコラーゲンが肝臓全体に広がってしまう病気です。全身の倦怠感、腹部の膨満感、食欲不振、むくみ、手の震えなどの症状がありますが、黄疸(おうだん)が認められる症状が出た頃にはかなり進行している状態です。

肝細胞癌

肝細胞癌の主要な原因は肝炎ウィルスで、数種類ある肝炎ウィルスのうちB型が約60%、C型は15%の持続感染に起因しています。慢性肝炎によって肝臓の線維化が進み、高齢や飲酒歴などの因子が加わることで肝硬変や肝細胞癌になるリスクが高まります。

不顕性感染

ウィルスに感染しながらも、感染症状を発症していない状態を不顕性感染と言います。保菌者である不顕性感染の人は、時にウィルスの感染源となることがあります。

劇症肝炎

劇症肝炎とは急性肝不全のことです。その診断基準は、厚生労働省の難治性の肝疾患に関する調査研究班によると以下の様に定義されています。

『初発症状出現後 8 週以内に高度の肝機能異常に基づいて昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症をきたし、プロトロンビン時間が 40%以下を示すものとする。』

出典:『急性肝不全(劇症肝炎)』厚生労働省 難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究

つまり劇症肝炎は、肝炎が発症していない無症候性キャリアの人でも、急激に肝細胞が破壊され肝機能が低下してしまう病気です。予備能力の高い肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、自覚症状のない間にも徐々に病気が進行していることがあります。

肝炎ウィルスマーカー検査

肝炎ウィルスマーカー検査は、肝炎ウィルスに感染しているかどうかを調べる検査です。無症候性キャリアのスクリーニング検査としても行われます。B型肝炎ウィルスには、HBs、HBc、HBeの3種類の抗原が存在し、それぞれの検査があります

HBs抗原

HBsとはHBV(肝炎ウィルス)のsurface(表面)を意味し、HBs抗原とはウィルスの表面を構成するタンパク質を指します。HBs抗原検査が陽性であれば、B型肝炎ウィルスに感染しています。

HBs抗体

HBs抗体とは肝炎ウィルスの活動を抑えるために体内でつくられた抗体のことです。HBs抗体検査が陽性であれば、過去にB型肝炎ウィルスに感染したが現在は治癒、およびウィルスに対して免疫がある状態です。

HBc抗原

HBc抗原とは、HBVの芯部分であるcore(コア粒子)に存在するタンパク質ですが、ウィルス内部に存在するため現在は検出することができません。

HBc抗体

HBc抗体とは上記のHBc抗原に対し体内でつくられた抗体のことです。HBc抗体には、HBV感染初期に確認できるIgM-HBc抗体と、IgM-HBc抗体がつくられた後に現れるIgG-HBc抗体があります。IgM-HBc抗体が陽性の場合は、最近ウィルスに感染した、慢性肝炎が悪化した、また急性肝炎の可能性もあります。

IgG-HBc抗体が陽性だった場合は、HBV感染の既往があることを示し、高い値であればHBVキャリア(HBs抗体陽性)となります。

HBe抗原

HBe抗原とはHBVウィルスが増殖するときに過剰につくられるタンパク質で、カプシド(タンパク質の殻)の内部に存在しますが、タンパク質が多くつくられると血液の中に放出され陽性となります。ウィルスの量が多く感染力が強い状態です。

HBe抗体

HBe抗体はウィルス感染を防ぐ働きはありません。HBe抗体が陽性であった場合、ウィルスの量は少なく感染力は低い状態だと言えます。

インターフェロン

インターフェロンは、B型肝炎やC型肝炎などウィルス性肝炎の抗ウィルス薬として、肝炎ウィルスを破壊し根治することができる注射薬です。B型肝炎は約30%、C型肝炎は約50~90%の治療効果があるとされています。

治療開始当初に38度を超えるような発熱、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの副作用が起こりますが、投与を続けていくうちに治まることも多いです。

核酸アナログ製剤

核酸アナログ製剤は、B型肝炎の治療に用いられる内服薬です。HBVの増殖を抑制しウィルスの活動を鎮静化させる効果があります。服用中は副作用もほとんどなく、ウィルスの量が減り肝炎も起こりません。しかし服用を中止すると肝炎が再発する可能性が高く、急性肝炎や肝不全で死に至ることもあるため、長期間の服用が必要となります。

ただし初期の核酸アナログ製剤では、長期投与によって薬に耐性をもつ変異株が出現する症例も報告されています。近年の核酸アナログ製剤は薬剤耐性株の出現率が低くなり、万が一ウィルスの変異があった場合でも、別の種類の核酸アナログ製剤を併用することで耐性株を抑制できるようになりました。

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